20代半ばパリに滞在する前後で、私は日本人としてのアイデンティティーをすごく意識した。
なんでこんなに日本人として日本の事が語れないのだろう・・・。
日本で育って来たのに不思議と思う反面、自分の不勉強さを責めたりもしたのだけど、
のちのち、戦後教育でそうさせられてきたことが分かった。

パリに行く前だったか帰国後だったか、日本人についての探求が始まった頃、
たまたま図書館で奈良の春日大社の故 葉室頼昭 宮司の書いた本に出会った。
日本のこころや、何気なく普段やっている習慣に基づく日本人の物の見方、
文化、歴史が書かれていて、本当に勉強になる。

葉室さんのおもしろいところは、もともと形成外科の先生だった。
医学の世界から神様の世界に来られた方だった。

今日、また読み返してみた。忘れている事も多々あった。

昔の日本人の感性や直感力のすごさに触れた。

なんでも理屈で物を考えると間違えると改めて思った。

この前も日本文化に言及した本を読んでいると、ロジックが成立していても、
そもそも最初の仮説が間違っていたりする。
頭でっかちで知識だけで立てた仮説が間違っているから、
筋は通っているけど真相を語れていないことがある。

人は自然の中に立って、自然の側から物事を見る事が大事だと思う。
なんでも理屈で説明できるわけじゃないですもんね。
今のところ科学では説明できない自然の摂理や目には見えない世界がある。
大自然の中に立つと、自然の一環に人間はあると身体で感じる。
謙虚になる、自然に感謝する。そういう視点を忘れては真相が見えてこない。

なんか偉そうですけど、自分に言い聞かせながら書いてるんです。

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葉室さんの「神道のこころ」を読んで、
メモ代わりに要点をいくつか書き残しておこうと思います。

◆大和朝廷の治め方
古代、大和朝廷が日本を治めたやり方は世界にまれなる方法だったそう。

外国の王朝が武力で国を征服し、他の宗教や文化を全滅させ、自分の持っている
宗教や文化を押し付けて国を大きくして治めた。

でも大和朝廷は、日本のそれぞれの氏族の神様を全部朝廷に持って来て
それら氏神さま全部を天皇がお祀りくださるようになった。
だから天皇家は続いているのですね。

宮中には賢所、皇霊殿、神殿という三つのお社がある。
そのうち神殿は日本全国の八百万の神様を祀ってあるところだそう。

ちなみに。他で学んだことだけど、
日本誕生は大和朝廷成立に遡り、日本は現存する国家の中で、世界最古

大和朝廷は諸説あるも、紀元前660年から3世紀前半に誕生している。
なので日本はおよそ2000年前に建国された。

2番目に古い国家はデンマークおよそ1100年、3番目は英国でおよそ900年。
アメリカはおよそ230年、フランスはおよそ220年、中国は’49年の
毛沢東の宣言した年からだから62年、ロシアは'91年に独立だから20年・・・・
ダントツ日本が古いんですね。すごいなあ〜。


◆山について
昔の人は山を拝んだ。古神道は最初山を拝んでいます。
山というのは、地面の下からのエネルギーがせりあがってできたのが山なわけです。
山には生命力を回復させる素晴らしい神の気が籠っているのだそう。


◆断層と神社
断層も地中から出る生命のすばらしい波動、エネルギーが地上にでてきている場所で、
それを感じて昔の人は神社を建てたから、多くの神社が断層の上に建っているそう。
春日大社は神戸の下の断層の末端にありながら、阪神大震災で3千ある灯籠が1つも倒れていない。
それは自然の森を残していて、都会のようにふさいでいなかったから
エネルギーが下から自然に抜けていたそう(エネルギーが抜けている現象も紹介されていた)。

→科学的な理屈で説明できることではないでしょうけど。

◆神道と仏教
仏教はもともと祖先を祀るという発想がない(びっくり!)。
仏教が入った時になかなか広まらないから神道の発想を取り入れたそう。
神道の祖先崇拝を取り入れたのが先祖供養。

お盆もお彼岸も、もともとは神道の行事(え!?びっくりパート2)。

春日大社は藤原氏の氏神さまを祀る。
興福寺は藤原氏の先祖供養をやる。

仏教には修行(座禅を組んだり、自分の努力で無我になろうとする)があるが、
神道には修行という概念はない。

よく滝に打たれたり、水中で祝詞をあげますが、修行とは異なる。
神道は神の恵みと祖先の恩で生かされているという視点。
だから水の力、神の力で自分の罪や穢れを取って頂こうというのが禊ぎで、
自力でやろうとする(=修行)とは違う。

精進する、とはいいますね。

◆罪と穢れ
罪 ← 「包む身」 神様のお姿を包んで隠してしまうもの
穢れ ← 「気枯れ」 神様からいただいたエネルギー「気」を枯らしてしまう

犯罪的な罪や、汚い意味の穢れではないんですね。
本当の意味での罪や穢れによって、病気や不幸になるので水の力によって祓う、これが
神道の儀式で「祓い」だそう。


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きりがないから本からの要点整理、この辺まで。

日本人ですら日本の物の捉え方をはき違えている事が多い、もちろん私も含めて。
そもそも昔の日本人がどう物事を捉えて来たか、を知ることから
日本人のアイデンティティーがどういうものなのかを知る。

今にもDNAに刻み込まれて残るものもある。

公を大切にし、つまりは相手も自分と同じ個人であるとして
相手も大切にできる民族だからこそ、
この大災害時にも暴動を起こす事なく食料品店で列を成す。

日本文明とも言われる縄文文明はなんと約1万8千年間 !! 続き、
戦争もなく平和で高度な文明があったと最近言われるようになった。
その頃から考えると本当に歴史が深いからこそ、先祖代々伝わって来たものは理屈を越える。
だから私は日本の歴史、アイデンティティー(継がれてきた日本の精神)を探求する。
大切にそれを語り継いできた高い精神の持ち主が昔は多くいたんだろうなーと想像する。

きっと、これから日本が再生する時に、
先人の高い精神力と、今ある高い技術や底力ある経済力とが両立するようなことが
ビジョンとして起こるんじゃないかと思う。